S&P 500はこれから下がる!米Morgan Stanleyが考えるその根拠とは?

はじめに

米Morgan Stanley, chief investment officer in chief US equity strategistのMike Wilsonが今後1年の米国株式を予報してくれました。 

スタート

今年もMorgan Stanleyの研究チームが集まり、1年を予測する時期が来ました。これはまた、昨年の予測のうち何が正しかったか、何が間違っていたかを予測するレビューでもあります。結論から言うと、昨年我々が出したS&P 500の予測は、あまりにも保守的でした。

S&P 500の値は、わずか5か月ですでに年末の目標価格であった3900を上回っていますが、我々はその目標を引き上げません。私たちは現在の指数値(5月10日時点で4200)が過剰に乖離したものだと信じ続けており、三つの理由から今後6か月で大幅に低く調整されると予測します。

一つ目の理由は、これまでの5か月を回復の初期サイクルであると考えているからです。私たちはこれからミッドサイクルに移行します。ミッドサイクルは政策と経済回復のピーク率と一致する傾向があります。通常、ミッドサイクルの期間中、S&P 500の株価収益率は約20%低下しますが、今のところその低下はわずか5%に留まっています。

二つ目の理由は、長期金利の大幅な上昇です。これにより、最終的にS&P 500指数はさらに10〜15パーセント低下するでしょう。

三つ目の理由は、収益予想が予想されていたV字回復 (下図)に追いついたからです。


(SBI証券Webサイトより引用)

我々が昨年公表した推定値は、需要と販売の迅速な回復による強力な営業レバレッジを含んでいます。そのため予想外の回復スピードの要因は、人件費の巨額の企業補助金に相当する前例のない政策支援のためです。しかし今後、リオープニングはコストを上昇させ、マージンを引き下げる可能性があります。これは、現在企業が考える高額な収益見積もりに驚きをもたらすでしょう。

法人税の引き上げは、この秋に行われる予定です。妥協案が可決される可能性が高いと私たちは考えており、28%まで完全に引き上げられる可能性は低いでしょう。いずれにせよ法人税の引き上げは来年のS&P 500の収益予測を、約5%低下させると考えています。サプライチェーンにおける労働力コストに関する継続的な問題から見られるマージンに対する圧力と組み合わせると、収益の上昇が、コストの上昇を相殺できる可能性は低いです。

結論として、株式投資家が今年の成功するには、株式、セクターおよびスタイルの優れた選択が必要でしょう。これらの方針に沿って、私たちは、リオープニングに伴う高いコストリスクを伴う一般消費財のような株式ではなく、金融やマテリアルのようなリフレ関連株を引き続き支持します。また収益が安定している高品質の株式や、リーズナブルな成長株は、ミッドサイクルで信頼できるパフォーマンスを見せてくれるでしょう。その点で、高評価を維持するテクノロジー関連株を無視して、コミュニケーションサービスの一部であるヘルスケアに目を向けるのは評価されていません。

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*上記のコンテンツはPodcast "Thoughts on the market"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。