はじめに
S&P500の価格推移から見てもわかる通り、2022年に入ってから米国市場の経済成長は鈍化しています。
2022年3月に金利が上昇し5月現在の金利は0.83%となっており(下図)、米国市場の成長はこのまま終わりを迎えてしまうのでしょうか?
source: tradingeconomics.com
しかしいいニュースもあります。なんとインフレが緩和し始めたのです。
今日は、インフレ緩和が今後の米国市場にどんな影響を与えるのか、Morgan StanleyのAndrew Sheetsから学んでいきましょう。
スタート
2022年、投資家は多くのことを学びました。
今年の多くの進展の中で、インフレが中央銀行の政策に与えた影響は際立って大きな学びだったことでしょう。
過去40年間かけてインフレは着実に緩和し続けており、特に過去10年間はインフレ傾向が異常に弱まっていました(下図)。
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このインフレの弱さは、実は中央銀行の支援を必要とするほど、成長鈍化の兆候でした。
しかし2022年初頭、話は大きく変わります。
供給を上回った強い需要によって、インフレが引き起こされたのです(参照:【世界経済】深刻な状況が続く供給不足。回復のカギは運送業!?)。
インフレが持続したことは、中央銀行とプロの予測者を驚かせました。
その後、中央銀行の政策は急速に変化し、債券利回りが上昇し、これまでの市場のパフォーマンスの大部分の定義がかわりました。
しかし2022年5月現在、この議論はインフレから経済成長へと再び戻ろうとしているかもしれません。
Morgan Stanleyのエコノミストは、2022年最初の5か月で急騰した米国のインフレが今後緩和すると予想しています。
その理由の1つは、変化のピークを超えていることです。
今日のインフレ率は、米国の予防接種率がまだ低く、活動が通常に戻るまでに長い道のりがあった2021年5月の商品の価格とすでに活動が通常に戻った現在の商品の価格を基に計算されています。
加えて、サプライチェーンの混乱が緩和されているという有望な兆候も見られます。
荷降ろしされて米国の港から離れている船は少なくなっていますし、運賃も下がっています。
現在、多くの小売業者が大量の在庫を報告しています。
以上のことから、市場ベースの将来のインフレ予測は、先月、米国とヨーロッパの両方で低下していました。
インフレ緩和の傾向が維持できる場合、いくつかの重要な意味があります。
第1に、非常に単純ですが、高い値で低下しているインフレは、高い値で上昇しているインフレよりも市場への恐怖がはるかに少ないのです。
極端なインフレ率は1970年代のオイルショックに対する恐怖をよみがえらせてしまいますからね。
第2に、将来の中央銀行の金利が、現在の期待値以上に上昇する必要がないことを示唆しています。
米国では、債券利回りが安定するでしょう。
また、債券利回りが安定すると、住宅ローンや地方債など、金利の変動に非常に敏感なハイクオリティ債券市場に良い風が吹くでしょう。
市場がインフレにあまり焦点を当てずに、経済成長に焦点を当てていますが、Morgan Stanleyは各企業の収益にもブレーキがかかると予想しています。
短期的には収益増加が見込めるでしょうが、より保守的な収益の見積もりを出す予定です。
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*上記のコンテンツの一部はPodcast "Though on the market"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。
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