はじめに

Morgan Stanley Fixed Income StrategistのVishy TirupatturFixed Income Marketについて語ってくれましたので、今日は投資細胞くんと一緒にFixed Income Marketについて考えてみましょう。

Fixed Incomeとは? 

Fixed Income Marketとは文字通り、固定された (Fixed) 所得 (Income) を投資家に払い続けてくれる金融商品のことです。多くの場合、債券や不動産投資を指します。現在、代表的な株式指標である日経平均やS&P500は軒並み歴代最高値を更新しています(下図)。そんな中、次の投資機会を探しいる投資家の方も多いのではないでしょうか?そんなあなたはぜひVishyの話を聞いて、Fixed Income Marketに目を向けてみてください。

(SBI証券Webサイトより引用)

Fixed Incomeに投資するには?

皆さんが所持している証券講座が扱っている債券を購入する、もしくは国際REITインデックスや国際債券インデックスなどのFixed Incomeをあつかう投資信託にお金を預けることで間接的に投資を行うことになるでしょう。Vishyとの会話の後に、投資細胞くんおすすめの投資信託を紹介するので、ぜひ最後まで見て行ってください。

対話スタート!

司会:現在世界経済の回復傾向は著しく、株式市場の指数は投資家の楽観的な経済成長予測を含んだ高い値を示しているよね。この中で、Fixed Income投資を行うメリットは何だい?

Vishy:もちろんリターンを得られることだよ。僕は2004年にみられた大きな経済成長と、今回の経済成長を照らし合わせて興味深い共通点を見つけたんだ。そこから得た3つの今投資するべきFixed Income商品を教えてあげるよ。1つ目はCLO(Collateralized Loan Obligationだ。CLO市場は今やニッチな市場ではないんだ。アメリカだけでも8000億ドルの規模があるからね。さらに言うと、企業がCLOを通して投資家から借り入れしたお金を使うことで、より大きな利益を得るという構造は、今現在(コロナ禍)の戦略として非常にマッチしているんだ。またCLOから得られるリターン(金利)はCLOの拡散に対して敏感に下がるから、今発行されているCLOを買えば1年以内に大きなリターンが得られると思うよ(将来同じ企業に対するCLOを買ったとしても、得られるリターンは現在よりも低い)。

Vishy:2つ目はCRT(Credit Risk Transferだ。これはCLOとは異なり、住宅ローンから利益を得る商品だね。現在住宅市場は非常に堅調で、借主がローンを使って購入した住宅の価値は、借りた当時よりも非常に上がっている(リーマンショック後の住宅価格暴落も要因の一つ)。この家を売ってローン返済ができる人や企業が多いため、不履行の可能性が今は極めて低いんだ。

Vishy:3つ目はRMBS(Residential Mortgage-Backed Securities)だ。これも住宅ローンに関連した商品で、RMBS市場はCLOやCRTよりはるかに大きいんだ。また政府関連機関による元金保証がついている商品もあるよ。これを買えばクレジットリスク無しでFixed Incomeを得ることができるんだ。ただし、住宅ローン債務者は繰り上げ返済の権利を持っているから、プリペイメント・リスクによって予想していた利益が得られないことがあることに注意してくれ。

司会:繰り上げ返済はCRTにとっては利益で、RMBSにとっては損益なんだね。この点はすごく面白いよ。今日はありがとうVishy。

考察

今回はほとんどVishyが話しているだけの内容でしたね。投資細胞くん的にはCLOもCRTも買うべきだという意見に賛成です。FOMCで2023年までに段階的に金利が上昇することが伝えられた以上、企業は金利引き上げ前にCLO制度を利用してお金を借りるでしょう。金利引き上げ後の未来ではお金の借り手がいなくなりCLO発行数は減るため、相対的に”今”のCLOの価値が上がると予想できます。

CRTも同様に、住宅価値が高騰している今なら債務不履行の可能性が低くお買い得といえるでしょう。米国の不動産価値を示すダウ・ジョーンズ米国不動産指数の上昇は2008年のリーマンショック以降堅調です(下図)。注意してほしいのは、債務者が繰り上げ返済した場合その元金はシニア債・メザニン債・劣後債と支払優先順位の高い順に支払われるため、自身が購入したCRTが劣後債の場合は注意が必要です。


おすすめ投資信託

お待ちかねのおすすめ投資信託の発表です。残念ながら国内のSBI証券や楽天証券ではCLOやCRTを取り扱っておりませんでした。またこれらの債権をメインで扱っている国内投資信託も残念ながらありませんでした。海外ETFを購入できる方には、手数料ゼロで購入・保持できるAAF First Priority CLO Bond ETF(AAA)がおすすめです。海外ETFを購入できない方も、証券会社のWebサイトから、債券のタブをクリックしてみてはいかがでしょうか?

翻訳協力:翻訳細胞くん_translator cell

*上記のコンテンツの一部はPodcast "Thoughts on the market"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。