2021年上半期米ETFの成績

はじめに

2021年も半分が終わりましたね。今日はMorningstar, global director of ETF researchBen Johnsonが2021年前半のETFマーケットを振り返って話を聞かせてくれました。投資細胞くんと一緒にETF界隈でどんなことがあったのか、2021年前半を振り返っていきましょう。

ETFとは?

ETFとはExchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。(略)投資信託と同様に、ETFが連動を目指す指数は複数の銘柄で構成されているため、ETFの投資対象も複数の銘柄になります。よってETFは、投資信託同様、1銘柄に投資するだけで分散投資が可能となります。また、ETFは取引所に上場しているので、株式のようにリアルタイムで取引することができます。(野村アセットマネジメントより引用)。またETFが初めて発行されたのは米国で1993年、日本では1995年と歴史が浅いため、特に日本では取り扱い銘柄数が投資信託と比較すると未だ少ないです(SBI証券で取り扱っているETF銘柄数が274に対し、投資信託銘柄数は2645)。

投資信託とETFの違いは?

大きな違いは2つです。リアルタイムで売買できるか、値動きの指標が単一か否かです。ETFは上場しているため、株式のようにリアルタイムで売買することができ、市場価格と基準価額がその価格に影響を与えます。一方で投資信託は、購入に1~2日を要し、基準価額のみが価格に反映されます。ただし、日本国内でのETF銘柄はまだまだ少なく、投資したいETFが見つからないことも多々あるため注意が必要です。

では早速2021年前半のETF界隈の動向を探っていきましょう。ブログの最後に投資細胞くんおすすめETFも紹介するのでぜひ読んでいってください。

対話スタート

司会:来てくれてありがとうBen。まず2021年前半のETF全体のパフォーマンスはどうだったか教えてくれない?

Ben:一番興味深かったのは、いくつかのメジャーセグメントが2020年とは正反対の動きをしていたことだね。中でも顕著だったのが U. S. large cap growth stocksとU. S. small cap value stocksだよ。それぞれの指標を見ていくと、Morningstar US small value indexは2021年前半だけで26%上昇した(2020年は-1.76%)一方で、Morning Star U. S. large growth indexは16%しか上昇することができなかったんだ(昨年は38.05%)。これはエネルギーサービスやガス掘削関連株の大きな反発のおかげだね。特にクリーンエナジー関連ETFは一時490%上昇していたからこの寄与度はえげつないよ。

(Morningstarより引用)

司会:どのセクターのETFにお金が集まっていましたか?

Ben:いい質問だね。驚くべきことに2021年前半だけ4,430億ドルものお金がETF市場に流入したんだ(2010-2019年の年間平均流入額が3,560億ドル)。2600を超えるETFの中で最も資金流入額が多かったセクターは、全米株式インデックスファンド、全世界株式インデックスファンド、新興国株式インデックスファンド、ブルームバーグ・バークレイズインデックスファンドの4つだ。これら4つのセクターだけで1250億ドルを超える資金流入が見られたよ。これ以外に興味深かったのは米国バリュー株ファンドだね。こちらも2021年前半だけで68億5000万ドルの投資を受けているよ。

司会:ETF界隈では面白いストーリーがあったと伺いましたが、それについて何かありますか?

Ben:2020年に置かれた自分の環境を思い出してほしいんだけど、多くの人が自宅から仕事をしていたと思う。その状況からか、世界で初めてWork from home ETF (ticker: WFH)という興味深いETFが発行されていたね。成績も非常に良くて発行当初の金額から1.5倍に成長しているんだ。もう1つの興味深いストーリーは、4つのtax-managed mutualファンドがETFに転換されたことだね(下表オレンジ線)。これら4つのファンドの合計時価総額は300億ドルだった。この転換は、商品メーカー、資産運用会社だけでなく、そのクライアント、投資家の間でのETFの価値が高まっていることを示すものだとぼくは考えているよ。将来他のフォーマットからETFがシェアを獲得し続けることは間違いないね。

(IFA.comより引用)

司会:今日はありがとうBen。また半年後に話を聞かせて頂戴ね。

考察

相当額のお金がETFに流れたことからも、ETF人気の爆発ぶりが伺えますね。おそらくコロナ感染症の蔓延による大暴落が、これまで投資を始めようか迷っていた人の背中を押したのでしょう。実際に投資細胞くんの周りでも、コロナ感染症の流行と同時に証券口座を開設する人が後を絶ちませんでした。そしてそれらの多くが、Bennも言っていたように全米株式インデックスファンド、全世界株式インデックスファンドに投資したことで、現在大きな利益を出しています。下図のチャートを見ると、どちらも2020年半ばの暴落以降グングン基準価額を伸ばしていますよね。

(Morningstarより引用)

さて、これからのETF界隈の未来はどのようなものになるのでしょうか?”はじめに”で述べたようにETFの値段は市場価格と基準価額で決まります。これからもETFへの他フォーマットからの流入が続けば、ETF全体の市場価格は上昇し、株式や投資信託の価格が下落していくことでしょう。一方で2021年後半での資金流入が前半ほど芳しくなければ3つの市場でしばらく均衡状態が続くと予想されます。どちらにせよ、様々な金融商品がセットで購入できるETFが魅力的なことに変わりはありませんね。

おすすめETF

国内ETFの銘柄数は274と、米国ETFにおける銘柄数の約10分の1でしかありません。そのため細かい分野ごとに投資するのは正直難しいです。そこでベタではありますが、低信託報酬のMAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信を勧めさせてもらいます。米国ETFを購入できる方には、クリーンエナジー関連株ETFであるFirst Trust NASDAQ Clean Edge Green Energy Idx Fd ETF(ticker: QCLN)をお勧めさせてもらいます。一時は年初来490%を記録したQCLNも現在は落ち着いて、最高値の75%ほどで推移しています。クリーンエナジーの推進はバイデン政権の政策の一つでもあるので、今後基準価額が上昇していくと予想できます。

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*上記のコンテンツの一部はPodcast "Investing Insights"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。