ズボラさん必見ハンズフリーポートフォリオ

はじめに

Morningstar, director of personal financeChristine Benzが手放し投資のためのポートフォリオ(ハンズフリーポートフォリオ)の作り方について教えてくれました。今日は投資細胞くんと一緒に手放し投資術を身につけて、未来に備えましょう。

ポートフォリオとは?

ポートフォリオとは運用対象として保有する株式、公社債、短期金融商品など、保有資産の構成内容のことです(大和証券用語解説より引用)。金融資産を購入している人なら誰しもポートフォリオを作ることができますね。では一体このポートフォリオは何の役に立つのでしょうか?

ポートフォリオの役割

最も重要な役割は資産のリスク管理です。自分の保有する金融商品のポートフォリオを定期的に確認することは、自分の目的に合ったリスクをとることができているのか、リスクに見合ったリターンを得ることができているのか、これからの未来に沿った資産構成になっているかを把握するために非常に重要です。一方このポートフォリオをしっかりと管理することができれば(今回の話に登場するハンズフリーポートフォリオのように)、勝手にあなたの資産が増えていく未来を創ることも可能です。

ハンズフリーポートフォリオとは?

今回の対話のメインテーマであるハンズフリーポートフォリオとは、勝手に資産が増えていくポートフォリオのことですね。”資産を増やす”と聞くと、購入した金融商品が1円でも値上がりしたら即売り、次の金融商品を購入し、その商品が値上がりしたらまた売る。この繰り返しを想像する方も多いかもしれません。しかし今日紹介されるハンズフリーポートフォリオはその逆で、資産への干渉を最小限に抑えながら、資産を増やすためのアイディアです。最後にハンズフリーポートフォリオおすすめの投資信託も最後紹介しているので、ぜひ最後まで読んでいってください。

対話スタート

司会:最近はアクティブトレーディングが流行っていますが、Chrisは以前からハンズフリーポートフォリオを勧めていました。その理由をまずは聞かせてください。

Chris:大きな理由は、行動バイアスに振り回されずに済むことです。投資家は、市場が堅調に成長を続けている時は尊大になり、弱っている時にはまるでこの世の終わりのように落ち込みます。これらの行動バイアスが高値掴みや底値売りの原因となることは非常に多いです。もちろん自分のポートフォリオをいじくりまわす頻度が少ないほどこの罠にかかる確率は下がります。私はこれまで多くの退職者を見てきましたが、多くの暇を持て余した年長者がポートフォリオを毎日注視してしまい、この罠にはまっています。若いうちに合理化されたポートフォリオを作成して保持し続けるということは、退職後の資産を守るという意味でも非常に大切なことです。

司会:では早速、どのようにハンズフリーポートフォリオを作成するのか教えてもらえますか?

Chris:重要なのは、投資政策書(IPS:Investment Policy Statement)のような細やかな投資計画を立てることです。蓄積フェーズでの蓄積額はいくらなのか、引き出しフェーズでの引出率は何%の予定なのか、資産配分をどうするか、どこに投資したいのか、全体の期間はどれくらいなのか、などすべてを書き出してみるべきです。できあがった投資計画に沿って、すでに現金での貯金がある方は、現金をそれらの金融商品に移行していきましょう。

司会:ポートフォリオの中身について聞きたいのですが、実際の投資先に選ぶべきものは何ですか?

Chris:私たちはオールインワンタイプのファンドを強く勧めます。もちろん完ぺきではありませんが、Target date fund(目標年とその年における目標資産増加率を目指す金融商品)はあなたの投資計画をシンプルにしてくれるでしょう。例えば子供の大学入学のために15年で資産を20%増やしたいとします。Target date fundを購入していると、目標の15年に近づき、すでに目標の20%を達成していたり、達成間近の際にはファンドの人間が中身をより保守的なポートフォリオに切り替えて、あなたの資産を守ってくれます。あなたが資産の中身を考える必要はないので、手放し投資としてもっとも簡単な選択だと思います。

司会:もう少し自己責任で資産配分を決めたい人はどうすればいいのでしょうか?

Chris:インデックス投資や上場投資信託ETFに投資するのがおすすめです。Taylor Larimoreの著書The Bogleheads' Guide to Investing(日本語訳はまだ出ていないみたいです)では、①米国株式全体、②国際株式全体、そして③国際債券全体の3つに分けて資産を保有することを勧めていました。リスク許容度にあわせて資産を分散投資することでリスクに合わせたリターンを狙うことができるため、、資産配分をコントロールしたい人にはうってつけです。

司会:最後に、どれくらいの頻度でハンズフリーポートフォリオをチェックする必要があるか教えてください。

Chris:年に1度か2度チェックすれば十分でしょう。これ以上アクティブに資産を移動させることは、手数料増加やリスク増加の要因となります。退職者には年に1度何%引き出したのかを必ず確認するように勧めています。

司会:わかりました。今日は来てくれてありがとう。

考察

今日は、ハンズフリーポートフォリオ作成についての話を聞かせてもらいました。Target date fundは下の図(2040年をTarget yearに設定している商品から引用)のように目標年に向けて資産をよりリスクの低いものにしてくれるので、リスク管理が面倒な方にはとてもおすすめできそうです。

(フィデリティ・ターゲット・デート・ファンド(アクティブ)2060より引用)

現在値またで、手放し投資の代表として行われている米国株式全体への投資とも比較してみました。同時期に同社(今回はフィデリティ証券で、2018年に設定された投資信託で比較)で設定された米国株式ファンドの基準価額は2021年7月現在17,350円です(下図右)。一方で、Target date fundの現在の基準価額は約1万4598円となっていました(下図左)。この数値はそれぞれの金融商品のリスク許容度的には妥当な数値だと考えられます。ただ、少し気になるのがコロナ感染症での暴落時の下限値が、ターゲットデートファンドでは8000円を割り込んでいるのに対して、米国株式ファンドでは8000円のラインに触れずに基準価額が回復している点です(下図)。ターゲットデートファンドでは、より幅広く分散投資をしている以上、この結果は逆であってほしかったのですが。。。おそらく米国政府の企業救済がうまく機能した結果、米国株式ファンドの下落が抑えられ、記録的な反発を示したことが原因だと考えられます。

(SBI証券Webサイトより引用)

もう一点気になるのが、Target date fundの純資産額が全体的に低い傾向にあるということです。SBI証券で取り扱われている商品の中で、純資産額が10億円を超えているTarget date fundはわずか4つでした。純資産額はいわばそのファンドの体力ですので、純資産額が低いということは、失効するリスクが高いということです。以上の2点から、Target date fundの購入には注意が必要であり、購入するよりも自己責任でハンズフリーポートフォリオを作成するべきであると投資細胞くんは考えています。

おすすめ投資信託

考察でも書いたとおり、投資細胞くん自己責任でハンズフリーポートフォリオを作成するべきだと考えています。そこで今回紹介されたもう1つのシンプルな手放し投資である、①米国株式全体、②国際株式全体、そして③国際債券全体の3つに分けて資産を保有する方法向けに投資信託を紹介します。今回お勧めするのは、ノーロード・低信託報酬のSBI・全世界株式インデックス・ファンド三菱UFJ国際-eMAXIS SLIM米国株式、そして前回もおすすめしたニッセイ外国債券インデックスファンドです。これらの商品をご自身の投資計画に合わせて購入し、未来に備えましょう。

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*上記のコンテンツの一部はPodcast "Investing Insights"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。