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はじめに
2020年から2021年にかけて、コロナウイルス感染症が地球規模で問題となっています。しかし、大規模な問題は感染症だけではありません。
今日細胞くんが焦点を当てたいのは地球温暖化。2020年に世界最大の湿地であるPantanalを含む2400平方マイル（東京都の約半分）を消失する山火事が南米で発生したことは記憶に新しいかもしれません。
地球温暖化による雨不足の異常気象により発生した山火事により、二酸化炭素を吸収する森林が失われ、さらに地球温暖化が加速するという負のフィードバック機構が働いてしまっています。
僕ら投資家として個人でできることは何なのか？政府や自治体はどのような対策をとっているのか？現在（2021年8月）可決間近のバイデン大統領の巨額のインフラ投資は地球温暖化対策を含んでいるのか？
これらの疑問の答えを得るために、J.P.Morgan、Senior Climate Scientist and Sustainability StrategistのSarah Kapnickの会話を覗いてみましょう。
対話スタート
司会：地球温暖化は早急に対応しなければならないトピックの一つです。そこで現在話題となっているのが、Sustainability（持続性）です。今日は、Sustainabilityに関する研究を行っているSarah Kapnickに来てもらいました。Sarah、まずは実際に起きている気候変動について聞かせてもらってもよろしいですか？
Sarah：2つの重要な点を覚えて帰ってください。1つ目は人類の営みが地球の気候変動に影響を与えることが証明されたということです。IPCCは19世紀の時点では気候変動に対する人類の寄与を証明することができませんでした。しかし最新の研究結果では、工業活動が活発化したことにより世界の気温が1.1℃上昇したと証明されています。我々は今、ここ10万年のうち、最も暖かい世紀を過ごしています。
2つ目は、2100年には海面が約1メートル上昇すると予測されたことです。今のペースで人が活動を続ければ、2300年には数メートル海面が上昇することになります。加えて、気温の上昇に伴う海水温度の上昇は、海に溶け込める酸素の量を減らし、魚たちの健康に被害が出るでしょう。
これらの凄惨な未来を避けるためには二酸化炭素の排出量を下げるしかありません。
司会：Sarahは最近アメリカ西海岸における温暖化についての論文を発表していましたね。それについて話してくれませんか？
Sarah：もちろんです。アメリカ西海岸に住んでいない人はイメージしづらいとは思いますが、この地域では11月から3月にしか雨が降らず、飲用水の枯渇が常に問題となっています。2020年に発表された論文では、2018年が、最近2万年の歴史で二番目に乾燥に苛まれた1年であったと報告されました。カリフォルニアの貯水槽は常に満タン時の50%しかありません。
司会：この状況が続くとどうなりますか？
Sarah：飲用以外への水の利用ができなくなります。カリフォルニアで2番目に大きいOroville湖は、二週間前に飲用水の供給をストップしました。水力発電を行うために必要な水量を担保できなくなると予想されたからです。カリフォルニアでは約300億ドルの野菜や果物やナッツを生み出していますが、これらの作物へと水を引くのも難しくなるでしょう。
同時に山火事の発生も憂慮されます。2021年現在発生している山火事は歴史上2番目に大きいものだと言われています。これに伴い、カリフォルニアに住居を構えた場合、火災保険の保険料は高額に設定されます。
司会：農産物の価格高騰にもつながりますか？
Sarah：はい。水を得るためには、より地中深くまで掘り進めて地下水を得るか、周りから水を購入し、トラックで運ぶしかないので、どちらにせよ作物を作るためのコストが上がります。
司会：問題は明確ということですね。政府は今年中に巨額のインフラ投資に関する予算を施行する予定ですが、この投資は気候変動に関する問題解決策を含んでいますか？
Sarah：ガス排出を削減するためのプランが組み込まれていますね。例えば、75億ドルの電気自動車充電施設への投資は、ガソリン車やディーゼル車から電気自動車への移行を促進するでしょう。280億ドルの送電網改善のための投資は、10年後のゼロエミッションを達成するためには必須の設備投資です。さらに35億ドルをかけて、大気中から二酸化炭素を直接除く装置の開発を推進します。80億ドルをかけて行う水素エネルギー開発も、化石燃料に代わるエネルギーとなるので注目されていますね。390億ドルをかけた公共交通網の改善も、人々が自家用車ではなく公共交通機関を使うことで二酸化炭素排出を減らす目論見です。気候変動へと適応するための設備投資も500億ドルほど組み込まれています。
司会：ポリシーに含まれていることがわかって安心しました。より具体的な二酸化炭素排出削減につながるアイディアはありますか？
Sarah：いい質問ですね。何はともあれ、初めに必要なのはクリーンエナジーをスタンダードにすることです。公益事業やエネルギーを生産するために大量の二酸化炭素が排出されていますからね。その後は、建物などの省エネ化が必須です。ニューヨーク市では、新しく建設予定のビルの省エネ化を推進しています。二酸化炭素税の導入や二酸化炭素排出量の売買による排出量のコントロールも有効でしょう。中国では二酸化炭素排出の売買が始まっています。あとは、大気中から温室効果ガスを除くことが必要ですね。まだこれを実行できる装置は発明されていませんが、森林やマングローブ林などの自然がこれを手助けしてくれるでしょう。
司会：投資家などの個人はどういった手段で気候変動の問題解決を手助けできますか？
Sarah：新しいエナジー開発への投資を最も必要としています。アメリカ西海岸の乾燥地域では新しい農業技術や水の利用を効率化する技術が求められています。私が個人にお願いすることは、選挙の際に適した人物に投票することですね。
司会：それは最もですね。これらの資金は適正に使われていますか？
Sarah：それは私たち環境活動家が最も危惧していることです。実際に、現在資金の約の99.5%はクリーンエナジー開発と温室効果ガス削減に流れ込んでいます。しかし同時に、セメント製造などの工業過程における省エネ化にも着手しなければなりません。これらが効果を発揮するのは何十年も先の話なので、短期的には、引き続き変動する気候に適応するための設備投資も必要です。
司会：今後はどのような設備の開発に投資機会があると考えていますか？
Sarah：水に関しては、リサイクルと精製のための設備が重要です。農業に関しては、水の利用の効率化や、これまで農業に使われていなかった地域を、新たに農業に活用する必要があります。カリフォルニアやアリゾナは気候が温暖かつ水の供給が安定していたために農業で巨額の利益を出していましたが、今後は垂直農法などの水を削減でき、かつ省スペースで行うことができる農業が、カリフォルニアやアリゾナとは異なる地域で流行するでしょう。
エネルギーの観点では、水素エネルギーに注目ですね。水素は発火と同時に水を生み出すので、水不足を多少減速させることができるでしょう。
二酸化炭素除去技術にも期待したいですね。最も期待しているのは、自然保護を目的とした新たなマーケットの構築です。自然ベースの気候変動解決は多くのメリットがあります。マングローブ林は温室効果ガスを吸収してくれるだけではなく、高潮による洪水も防いでくれますから。
司会：今日はありがとうSarah。
考察
気候変動に伴う政府の対策や、投資家の現時点での行動を垣間見ることができましたね。さて、Sarahの話に出てきた垂直農法というキーワードですが、現在屋内で作物を育てられるということで非常に注目されています。JAグループの予想では、2019年の2億3990万米ドルから（年平均成長率（CAGR）20.0%で成長し、2027年には10億2133万米ドルに達すると予測されています。今日は、垂直農法に関連する米国株を2つ紹介します。
2. CubicFarm Systems Corp (OTC: CUBXF)
1. AppHarvest Inc Ordinary Shares (Nasdaq: APPH)
AppHarvestは、アメリカ東北部のアパラチアに世界最大の屋内農場を建設している農業テック企業です。従来の農業技術と最先端の技術を組み合わせることで、栄養価の高い食品の供給改善、持続可能な農業などの重要な問題に取り組んでいることで知られています。また、 ケンタッキー州にある60エーカー（東京ドームの約5.2倍）の施設は、米国で最大の屋内農場の1つです。
CubicFarm Systems Corpは、生鮮食品や動物飼料用の自動栽培システムを提供する農業テック企業です。 スローガンは、地球上のほぼどこでも、1年の間予測可能かつ持続的に成長することができる農業を目指しているとのことでした。現在特許出願中の発芽技術と独自の自動収穫および処理方法を確立していることから、今後の成長が見込めます。
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| Yahoo! Financeより引用 |
一投資家、一個人としてできる範囲で環境問題解決に取り組んでいきましょう。
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＊上記に含まれるコンテンツの一部はPodcast "Insights NOW"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。
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