中国不動産のお話

はじめに

読者の皆さんも散々今週見たように、多くのメディアが中国の不動産市場に焦点を当てていました。今日はMorgan StanleyのChief Asia economistのChetan AhyaとChief China EconomistのRobin Xingの会話から、有名アナリストたちが中国経済の未来をどのように予測しているのか見ていきましょう。

対話スタート

Chetan一部の中国の不動産開発業者における短期的な財政難が中国市場のボラティリティにつながっています。 また、今年の中国のハイイールド債の累積デフォルトは、2009年から2020年の合計よりもすでに高くなっていることから、中国経済だけではなく、世界経済へとこのボラティリティが波及する恐れもありますね。。

もともとの原因は、中国政策立案者が目論む経済政策”China's regulatory reset”だと考えられていますが、これが住宅市場に与えた影響を説明してもらえませんか?

Robin:僕らが”China's regulatory reset”と呼んでいるのは、政策立案者が昨年起草した、中国における政策の優先順位を"成長”から”持続性"に変えていこうという政策です。 この政策にはテクノロジー、教育、炭素排出に関連するものだけでなく不動産開発業者も含まれており、2020年夏以降、不動産関連の資金調達は引き締められてしまいました。

具体的には、不動産会社が”3つの赤い線”と呼ばれる資金調達上限を守らなければなりません。1. 総資産に対する負債の制限、2.株式に対する純負債および短期負債に対する現金の制限、3. および住宅省による借入の制限が不動産企業を財政難に追い込んでいます。この結果、企業はレバレッジキャップを設定し、大きなリスクを抱え込むことになりました。問題は、企業が支払い能力を持ち続けることができるのかということです。

Chetanは2015年以来、中国の債務とレバレッジ解消のダイナミクスを注視していますよね。企業がレバレッジを解消するためにはどんな政策が必要ですか?

Chetan:まず第一に、資金調達のプロセスは組織化された方法で行われており、金融システムに影響を与える可能性のあるデフォルトが起きないことを中国は保証するべきだと思います。我々のチームが調査している26の不動産企業の内、16の企業はすでに”3つの赤い線”を満たしており、9つの企業はすでに2つ満たしています。

また中国の不動産開発業者の総債務は約18.4兆人民元であると言われていますが、この金額は企業の年間契約売上高または年間売上高に匹敵するため、レバレッジ解消の可能性は十分あります。

不動産および不動産関連セクターは中国においてGDPの15%を占める重要なセクターです。企業がデフォルトに直面した場合、中国はその影響を管理できると思いますか?

Robin:はい。規制当局は、不動産開発業者を含む過去のデフォルトのケースに基づいたプレイブックをすでに持っていると思います。ただし、そのプレイブックをいつ開くかが重要になってきますね。

北京の目標は、当然建設プロジェクトをこれまで通りに保つことでしょうから、デフォルトはプロジェクトレベルではなく持ち株レベルで発生するでしょう。すなわち、実際の不動産市場への影響はさほど大きくならないはずです。またデフォルトが発生しても自主的な債務再編に取り組ませることで、企業の倒産をなるべく避けようとするはずです。

現在不動産の購入や、不動産セクターへの投資は減っており、新規建設プロジェクトは中々スタートしません。ですが幸い最近8か月間で、都市部での空き家は以前の不況ほど拡大していません。

政府の金融緩和政策により、中国のGDPは4.7%から5.0%に回復すると予想しています。

Chetan:中国政府は経済成長を減退させないレベルの金融緩和策を講じられると思いますか?

Robin:いい質問ですね。中国経済にとって不動産セクターの重要性を考えると、北京は経済を支援するために行動を起こすと予想しています。おそらく9月から12月にかけてインフラ投資を支援するための財政支出が加速するでしょう。10月中旬から下旬に中国人民銀行が預金準備率をさらに引き下げでしょう。これにより第4四半期には住宅ローンの割当がいくらか緩和されているはずです。

これは全体として、第4四半期の広範な信用成長の回復を促進し、最近10か月間の信用成長の鈍化の終わりを示すはずです。さらに、この勢いは、財政支出とクレジット割り当てが前倒しされる可能性がある来年初めに増幅される可能性があります。

Chetan:つまり政府は、1.債務再編が組織的かつタイムリーに行えることを確実にすること、2.景況感にマイナスの影響が及ぶ範囲で金融緩和を実行する必要があるということですね。

一方でこれらの支援が延期した場合にはどんな影響が考えられますか?

Robin:それはあまり考えたくないシナリオですね。政策立案者が期限内に行動を起こさなかった場合、銀行の信用枠が減少し、住宅購入者が激減するでしょう。これにより多くの企業が倒産に追い込まれる可能性があります。

この場合GDPの年間成長予測は2021年に6%を下回り、2022年には5.5%を下回るでしょう。一方でこの場合、2022年初頭にはるかに大きな金融刺激を行う可能性も考えられますね。

Cheatan:今日はありがとう。

考察

中国においてもアメリカと同様に国家政策を”成長”から”持続性”に方向転換しているようですね。アメリカとの大きな違いはもちろんその強制力。方向性は似ていてもアメリカと中国でどう違った成果が得られるのか、今後も世界経済から目が離せませんね。今日は中国経済投資のためのETFを紹介したいと思います。

Columbia EM Core ex-China ETF (XCEM)

信託報酬が0.16%と低いことに加えて、モーニングスターレーティングがゴールド☆4つであることがポイントですね。組み込まれている企業の上位には、半導体製造にいおいて世界最大手のTSMCや、スマートフォンで有名なSumsungが含まれています。

XCEM価格の推移($)

XCEM

金融商品は安く購入して、高く売却する。ただそれだけ。今日も皆さんが楽しい投資ライフを送れますように。

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*上記のコンテンツの一部はPodcast "Thoughts on the market"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。