はじめに
米国で巨額のインフラ投資プラン、bipartisan infrastructure framework (BIFプラン)が上院を通過したのは記憶に新しいと思います。BIFプランは、5年間で5,500億ドルのインフラ投資を目的としたバイデン政権の目玉政策です。しかしこの予算案がバイデン大統領の下に届くまでには、下院を通過する必要があります。
現在下院においては、民主党内でも増税を目指す過激派と支出を減らす穏健派に分かれています。これらの派閥のそれぞれの狙いは何なのでしょうか?今日は、過激派と穏健派の狙いと、過激派、または穏健派が勝利した場合の未来を、Morgan Stanley、Managing Director, Head of U.S. Public Policy Research & Municipal Credit StrategyのMichael Zezusの話から覗いていきましょう。
スタート
Michael:先週は、アメリカの立法が激しく動きました。民主党の政策の目玉である増税の実施が危ぶまれているからです。増税の目的はインフラ支出と社会的セーフティネットの大幅な拡大と言われていますが、この取り組みに関して党内で意見が割れてしまいました。
投資家たちには疑問が生まれたことでしょう。米国の財政見通し、すなわち米国債の利回りはどうなるのか?民主党員が最終的に合意することで利回りはさらに拡大するのか?それとも縮小してしまうのか?最近の利回り向上は所詮まぼろしだったのか?
我々は、穏健派と過激派の意見は増税で一致すると予想しています。その理由は、二つがしっかりとリンクしているからです。穏健派は現在通過済みの少額インフラプランで満足しているでしょうが、過激派はそうはいきません。過激派は穏健派が、追加の3.5兆ドルの支出に合意するまで投票を控えると言っています。
すなわち、穏健派が意見を変えなければ、BIFプランでさえバイデン大統領の元へは届かないのです。
恐らく最終的に二つのプランが承認され、最初の10年で支出の増加は3兆ドルに上るでしょう。またこの場合、最初の5年で財政赤字は1兆ドルほど追加されることになります。これにより、中期的に景気回復と国債利回りの回復につながります。
増税も政策に含まれるために、短期的に株式市場にはボラティリティがみられるでしょう。
一方で我々投資家は、過激派が穏健派へと流れた場合のことも想定しておかなければなりません。
穏健派の代表はすでに、予算調整法案の通過を遅らせ、金額を減らすと明言しています。この場合、財政赤字の拡大は避けられ、かつ増税もなくなるでしょう。
考察
追加のプランが承認された際には法人税の増税が含まれていることから、短期的に株式市場のボラティリティが上昇するとの見方でした。しかし、承認されなかったとしても株式市場のボラティリティは上昇すでしょう。なぜなら現在の米国株式指数は、すでにこれらのプランが承認される(またはされない)と期待した上での数値だからです。
承認されれば、承認されないと予測していた人は市場から退場します。一方で承認されなかった場合は、承認されると予想していた人たちが市場から退場するでしょう。続報が楽しみですね。
金融商品は安く購入して、高く売却する。ただそれだけ。今日も皆さんが楽しい投資ライフを送れますように。
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*上記のコンテンツの一部はPodcast "Thoughts on the market"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。

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