【Sustainable-finance】プラチックゴミ削減に取り組む投資銀行.jpg


はじめに

プラスチックの製造量は過去50年で生産量が20倍も増加し、2015年の製造量は3.5億トンを超えるまで成長しました。

プラスチックの年間製造量の推移
プラスチックの年間製造量の推移
Our World in Dataより引用


プラスチックはすべての海洋ごみの85%を占めており、2040年までに世界中で年間最大3,700万トンのプラスチック廃棄物が海に捨てられ、年間1,000億ドルの財務リスクが発生する可能性があると国連環境計画が提起しています。

これを受けてMorgan Stanleyは2019年にプラスチック廃棄物削減への取り組みを開始。

現在までに全体で500万トンのプラスチックごみを削減したと発表しています。

今日は、Morgan Stanleyがどのようにプラチックゴミ削減に努めてきたのか、見ていきましょう。

スタート

我々Morgan Stanleyは2030年までに5,000万トンのプラスチック廃棄物の廃棄防止、削減、除去を支援することを2019年に決議しました。

おおよそ3年前のプラスチック廃棄物決議から、削減実績は全体で500万トンに達しました。 

引き続き主要なパートナーに働きかけることで、自社の事業で使用するプラスチックを削減し続けるでしょう。

しかし、プラスチック廃棄物の削減を加速するには、科学、産業、資本、政府を統合したアプローチが必要です。

そこで我々は科学の力を取り入れるために、ジョージア大学における環境工学の専門家、Jenna Jambeck教授を、プラスチック廃棄物解決主任研究員として招致しました。

Jambeckは、固形廃棄物と海洋ゴミの問題に焦点を当てた研究を20年以上続けているベテランで、2016年にジョージア大学からCreative Research Medalを授与された優秀な科学者です。

今日はJambeck博士とMorgan StanleyのSustainability Financeの責任者であるAudrey Choiの会話を覗いてみましょう。

彼女らは、企業、消費者、そしてシステム思考がプラスチック廃棄物の増加を食い止めるためにどのように役立つかについて話しました。

Andrey Choi:地質学者はプラスチック廃棄物が人類が地球へ与える最も永続的な問題になると言っています。

Jambeck博士の研究は、廃棄物が地域社会や家族に与える影響について掘り下げていますよね。 

たとえば、ヨーロッパ人がリサイクルしたと思っているプラスチックは実は他の地域に運ばれているだけで、そのプラスチック廃棄物の山に座っている南アジアの母と子の写真をシェアしてくれました。 

ベトナムで撮影されたプラスチック廃棄物の山
プラスチックの山に座っている南アジアの母と子

全米科学医学工学アカデミー(NAS)での最近の研究を含め、あなたの研究はプラスチック廃棄物の問題について何を教えてくれますか?

Jambeck博士:NASレポートは、米国で生成されるプラスチックの、たった8分の1しか生成していない低所得国へのプラスチックスクラップの輸出が問題となっていると報告しています。

インドはその1つであり、私は全国地理探検隊の一員としてガンジス川沿いを調査していました。

その結果、毎日10〜30億個のマイクロプラスチックの破片がガンジス川からベンガル湾に放出されたことを発見しました。

ただし、問題は複雑です。

写真を撮影したベトナムを含め、人々が生計のためにプラスチック製品を収集する非正規な市場があります。

私たち目指すプラスチック廃棄物の削減とは、単にアジアにプラスチックを送り込むものであってはならないのです。

Choi:この危機に対処するための企業の役割は何ですか?

たとえば、IKEAは発泡スチロールを、再利用または生分解できるキノコ製のパッケージに置き換えています。

そのようなエコフレンドリーな代替品はプラスチック廃棄物の削減に有効ですか?

Jambeck博士:IKEAの発明は非常に素晴らしいものです。

ですが私は、もっと人類の営み全体をシステムとして働きかけるアプローチをとるべきだと考えています。

IKEAが発明した代替材料の使用も解決策の1つではありますが、そもそも無駄な梱包材や梱包作業を防ぐアプローチをとることもできるはずです。

Choi:そういったシステム思考は我々Morgan Stanleyがとっているアプローチに似ていますね。

我々のクライアントは、プラスチックの生産に関わる化学および消費財企業から、政府や個人にまで多岐にわたります。

2019年の決議以降、私たちは、threadUPと協調してファストファッションからのプラスチック廃棄物を削減に務めてきました。

またペプシと協力して、サプライチェーンにおける無駄なプラスチックを削減することで、プラスチックの削減に熱心な個人投資家が購入したがる製品を発売してきました。

私たちのコラボレーションはあなたの仕事にどのような影響をもたらしましたか?

Jambeck博士:Morgan Stanleyが開発に協力してくれたDebris Trackerというアプリの影響は非常に大きいです。

このアプリでは海辺で見つけたプラスチックゴミを、誰でも記録することができます。

Debris Trackerでは今までに世界中で500万を超えるアイテムが記録されており、プラスチック廃棄物の流れと影響を追跡するのに役立っています。

Morgan Stanleyにおける私の役割は実験です。

最近行ったのはペットボトルにGPSを取りつけて、プラスチックゴミがどのような旅をするのか記録しています。

ミシシッピ川を出発したペットボトルは、なんと遊覧船か貨物船の船底にくっつきBaton Lugeまで運ばれて行きました。

これは、アメリカにおいて船の交通がプラスチックごみの移動に影響を与える初めての実験的な証拠です。

Choi:プラスチック廃棄物増加の危機は圧倒的ですが、あなたのような献身的な人々がいることをサポートできて、我々も光栄です。

Jambeck博士の将来の研究についてまたお話できるのを楽しみにしています。

ツイッターをフォローして最新情報を受け取る

saibou

*上記のコンテンツの一部はMorgan Stanley Webciteを和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。