【ポートフォリオ】高まる地政学的緊張資産売却が厳禁なたった1つの理由

はじめに

2022年2月末日。ロシアのウクライナへの宣戦布告により地政学的緊張が高まっています。

その結果S&P500指数も年初来8.55%の下落を見せており、市場が慌ただしくなっています(下図)。

S&P500指数の2022年初来の推移
S&P500指数の2022年初来の推移
Google Financeより引用


一個人としては一刻も早い事態の鎮静化と、関連する人々に最悪の事態が起きないことを願うばかりです。

同時に投資家としては、現在持っている資産を売却するべきかどうかが気になるところ。

今日は、MorningstarのGlobal Chief Investment OfficerであるDan Kempに投資家がどのような行動をとるべきなのか、話を聞いていきましょう。

スタート

司会:市場はプーチン大統領の決断にどのように反応していますか?

Dan:非常に騒がしくなっています。一夜にしてアジア、英国、欧州の株式市場は急落しました。

一方で米国国債の価格が回復していますね。こういった事態では安全な避難所の役割をしています。

もちろん、石油やエネルギーの価格も上昇しています。

ただし、これらすべては正常な反応です。

投資家の皆さんには短期的な変化に巻き込まれないよう注意してもらいたいと考えています。

急いで株式を売却して、次の日には市場が回復していた場合、あなたは悲しみに暮れることになるでしょう。

投資家を悪い判断へと導く様相を、市場は見せています。

司会:石油とガスに着目してみましょう。なぜロシアの宣戦布告によりコモディティの価格が上昇するのですか?

Dan:表面的な問題は、ロシアが大きな石油原産国だからです。

とくにヨーロッパに対して石油を多く販売していたために、ヨーロッパでの石油価格は供給不足により上昇します。

次に消費者の買い占めです。地政学的な緊張が高まった際に、消費者は今後の供給を心配して、買い占め運動に走ります。

OPECと米国の今後の反応次第で石油価格の変化がみられるはずです。

加えて、コロナ感染症の影響もあります。石油価格は最近18ヶ月で既に劇的に上昇していました。

過去のイベントや地政学的な緊張をもとにコモディティの値動きを推定してはいけません。

市場の感情は移ろいやすいものなのです。

したがって、価格の上昇が今後も続くと簡単に予想しないでください。

司会:Danの友人たちもふくめて、投資家の誰も、今後何が起こるか予想出来ない事態が起きています。

Danは個人的に今後の市場の動きをどのように予想していますか?

Dan:誰も確信的な未来については分かっていません。投資家にとって、それはいつでも当たり前のことです。

十分な分析結果が得られれば、将来を予測することもできますが、こと地政学的緊張に関してこれは当てはまりません。

常に最悪のケースから最良のケースを考えて投資判断を行わなければなりません。

他のファンドマネージャーとも話しましたが、資産の移動を行わない投資家も多数いました。

彼らは我々と同様に、いろんなケースを考えています。

最新の市場の揺らぎを長期的に見すえて、市場本来の価値を見すえたうえで、リターンの基本的な推進力がなんであるかを理解しようとしています。

短期的に見てしまうと、政治やエネルギーに関する将来は誰にも予測できないものなのです。

我々投資家に必要なことは、個々の企業や資産クラスの長期的なリターンを計算し続けることでしかありません。

常に数年から数十年の長期投資を意識することを忘れないでください。

司会:今日はありがとうDan。

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saibou

*上記のコンテンツの一部はPodcast "Investing Insights"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。