はじめに
公益事業を担うユーティリティ株式。
2022年4月現在のユーティリティ関連株の株価推移を見てみると、年初来最高値を更新するほどの勢いがあります(下図)。
しかしMorningstarのEnergy and Utility StrategiestのTravis Millerはこの勢いに乗ることに警鐘を鳴らしています。
そこにはインフレーションが関連しているようです。早速彼の考えを聞いていきましょう。
スタート
Harrel:最近の地政学的影響を受けて、コモディティ価格の上昇とサプライチェーンの混乱しており、経済が崩壊しています。
この現状は、すでにかなり高い値を示しているインフレ率の数値をさらに押し上げる可能性があります。
Miller、あなたは最近インフレと、公益事業を担うユーティリティ株の関連について取り上げていましたね。
このセクターが高いインフレ率に対して脆弱である理由を説明してもらえますか?
Miller:もちろんです。インフレ率が上昇しており、金利が引き上げられようとしている現在、ユーティリティ株に良いことは全く起こりません。
理由の1つは、顧客の光熱費(エネルギーコスト)が収益の大部分を占めるからです。
現在、インフレ率を押し上げている最大の要因はエネルギーです。
公益事業者が提供しているエネルギーのコストが上昇していたとしても、公益事業という特性上、顧客に請求する金額を大幅に上昇させることができません。
そのため、得られるマージンがひっ迫します。
もう1つの理由は、ユーティリティの資本コストが莫大であることです。
米国だけでなく世界中で電気、ガス、水道のネットワークを運営するには、多くの資本と多くの人と多くの資材が必要になります。
データを見ると、平均的なユーティリティは純収入の70%を資産コストに費やしています。
つまり得られた粗利益の70%は、材料費、人件費、およびシステムの運用費に費やされているのです。
材料価格や人件費が上昇した場合、公益事業のコスト構造の大部分に影響し、明らかに収益と配当に影響すると考えられます。
Harrel:それに加えて、他の業界に比べて公益事業者が増加したコストを顧客に転嫁することも困難ですよね?
Miller:その通りですね。
公益事業の収益を増加させるためには、州または連邦レベルのいずれかで規制当局に光熱費料金を引き上げるように請願する必要があります。
財政的なプロセスというよりは、より政治的なプロセスになりますね。
Harrel:そして、たとえ価格を上げることができたとしても、それには数ヶ月かかると・・・。
Miller:ええ、そして政治論争の的となるタイプのイベントですね。
これらが、ユーティリティ株を分析する際に重要な点ですね。
必ずしも正確なケースではありませんが、他のセクターの企業と比較して、これらの側面があることに注意してください。
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