ネットゼロへと向けた世界の動向

はじめに

COP26も終わり、今後の世界のネットゼロへと向けた動きが注目されています。

今日は、Goldman Sachs’ Sustainable Finance GroupのJohn Goldstein and Kara Mangoneが、ネットゼロへと向けた長い道のりにおける世界の現在地について教えてくれました。

細胞くんと一緒に現状を知り、投資家として、一個人としてどのようなことができるのか学んでいきましょう。

スタート

司会:お二人はSustainable financeの最前線にいると思うのですが、まずはじめに持続可能な未来のために向けた努力を始めた我々人類の現在地はどこですか?

John:ちょうどスタートラインに立ったところですね。”持続可能な社会を目指す”ということが人々に認知され、そこへ向けて人やお金が動員され始めました。僕たちも、色んな企業のCEOに電話して持続可能な社会へのかじ取りをお願いする必要はなくなりましたね。これからはアイディアを実行に移す期間が始まります。

司会:COP26が先日終わりましたが、結果はどうでしたか?

John:いくつかポイントがありますね。まず僕が一番驚いたのが、プライベート企業が如何に持続可能な社会の達成に前向きであるかということです。例年参加者は政府関連や、環境保護に熱心な市民団体が多く、プライベート企業からの参加者はごく少数でした。しかし今年は大手商社や投資銀行からの参加者も多く、彼らは自社のビジネスがどのように温室効果ガス削減に有用なのか、または関連するサービスを提供できるのか熱心に考えてくれています。

もう一つ興味深かったのは、メタン、Deforestrationや石炭の使用について政策レベルでの話し合いが行われていたことです。二酸化炭素の排出に対して課税(参照:【米国経済】増え続ける温室…)が行われているように、他の温室効果ガスや、温室効果ガスを増加させる行動についても課税することで、多角的に持続可能な社会を目指すことができます。

司会:Kara、気候変動を抑制する目的においてパブリックセクターとプライベートセクターにおけるパートナーシップ関係はどうなっていますか?

Kara:重要なポイントですね。気候変動を抑制するためには、パブリックセクターとプライベートセクター両方の協力が必須です。まず実際に必要な金額を見てみると、年間3~5兆ドルの投資が、持続可能な社会を目指すために今後必要です。ですが昨年の投資金額はわずか8000億ドルとなっており、より多くのお金が、株式市場や債券市場から流入してくる必要があります。

資金が流入してくれば、それだけ技術開発の発展が加速します。現在開発されている炭素吸着技術や、エコ燃料、水素燃料などは未だ実用段階とはいえず、投資を必要としている段階です。我々Goldman Sachsはこの現状を投資機会であるともとらえており、現CEOであるDavid Solomonは7,500億ドルを気候変動を抑制するために投資することを発表しました。

同様にプライベート‐パブリック間での協力も非常に重要であると考えており、アジア開発銀行と提携することを決めました。Goldman SachsとBloomburg Philanthropiesは2,500万ドルをアジア開発銀行に投資し、東南アジアの気候変動改善のためにこの金額が使われるようアジア開発銀行に求めました。

司会:現在世界が持っているネットゼロを目指すためのツールにはどんなものがありますか?

John:1つ目は人々の強い意志と興味です。近年ネットゼロを目指す運動や思考は政府や一部市民団体だけではなく一般の人々にまで伝播しています。この情熱を正しく導くことがネットゼロを目指すために必要ですね。

2つ目は情報です。これまでは断片的な知識が所々に散っていて、我々のアドバイスも偏ったものとなっていました。しかし現在は地球のエコシステム全体を考慮できる情報・知識・経験が我々には備わっています。あなたが、ネットゼロへと向けた行動を起こしたいと思うならぜひGoldman Sachsを訪れてください。あなたの企業でどんなことができるのか、きっと道を示せるはずです。

Kara:私が紹介したいのはOpen source climateです。2021年にGoldman Sachs、amazon、Microsoftなどを含む15の企業からの出資により発足したチームで、正確な気候データを無料で提供し、気候変動の抑制を加速することを目的としています。

もともと気候データ自体は大量に存在していましたが、それを理解し、人に分かりやすく伝えることは至難の業でした。Open source climateは大量の気候データを人々に分かりやすく、無料で正確に提供してくれるでしょう。気候データが正確であるほど、あなた方のポートフォリオのESGリスクの測定・改善や企業活動のESGリスクの測定・改善に活かすことができますからね。

司会:John、Kara今日はありがとうございました。

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saibou

Exchange at Goldman Sachs

*上記のコンテンツの一部はPodcast "Exchanges at Goldman Sachs"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。