はじめに

とうとう12月も終盤。2021年が終わり、新たな年がやってこようとしています。この時期になると今年1年間の投資成績を確認している人も多いのではないでしょうか?

投資成績が良かった人は、来年も好調とは限らないためにポートフォリオの組み換えを検討するでしょう。投資成績が悪かった人は何が原因で成績が延びなかったのか理解し、ポートフォリオを改善しなくてはなりません。

そこで今日は、2022年のポートフォリオにどんな金融商品を組み込むべきなのか、Morningstar、Portfolio StrategiestのAmy C. Arnottの話を聞いて勉強していきましょう。

スタート

司会:Amyが研究しているポートフォリオの多様性についてお話ししてもらえますか?

Amy:もちろんです。ポートフォリオの多様性は、効果的な投資を目指すうえでの最優先事項です。様々な資産クラスの金融商品に分散投資を行うことで、それぞれの資産クラス特有のリスクを減らすことができるのです。

1950年のHarry Markowitzによる研究においてポートフォリオのリスクは、資産のリスクを合計したものではなく、それぞれの資産同士がいかに相関して値動きするかに依存することが明らかになりました。

つまり、値動きの相関関係が低い資産同士をポートフォリオ内に組み込むことで、リスクを減らすことができるということです。

司会:Amyは米国株式がメインに組み込まれているポートフォリオの多様性について研究していましたが、それについてお話を聞かせてもらえますか?

Amy:私は1年間の短期間と、20年の長期間におけるポートフォリオの多様性の効果について調べました。その結果、短期間、長期間に関わらず現金、ゴールド、短期優良債または長期優良債がポートフォリオを多様化する最良の選択でした。

外国株式は米国株式と連携した動きを見せたため、米国株式メインのポートフォリオを多様化するためにはそれ以外の金融商品を選ぶべきでしょう。

司会:コモディティは組み込むべきですか?

Amy:コモディティとは基本的に他の商品を製造するための原材料を指し、需要と供給の影響を強く受けて価格が上下します。過去にはポートフォリオを多様化する優れた金融商品でしたが、過去数年間でその値動きは米国株式と相関するようになっています。

もう1つ注意するべきなのは、主要なコモディティ指数の値動きがエネルギーに重きを置いていることです。2020年初頭に石油価格が急落した際に、多くのコモディティ指数が急落しました。

司会:ほかに多様化要因となり得る資産はありましたか?

Amy:ベアファンドが挙げられます。ベアファンドは米国株式指数と全く逆の動きを示すので多様化要因になりますが、過剰に組み込んだ場合利益を相殺する可能性がありますね。

他の金融商品は米国株式との相関が強いものばかりでしたね。

司会:先ほど優良債は優れた多様化要因であったと挙げてくれましたが、一方で不良債や新興市場債券、銀行ローンについてはどうでしたか?

Amy:それほど効果的な多様化要因ではありませんでした。これらの商品は、パフォーマンスを促進するような債券特有のリスクがあります。おそらくはそのリスクの影響で、米国株式指数の値動きと相関しているのでしょう。

つまり、いくら債券であったとしてもこれらの債券をポートフォリオに組み込むことは多様化の促進には至りません。

司会:以上のことを踏まえて、投資家は2022年ポートフォリオについてどう考えるべきですか?

Amy:米国株式をメインに据える場合は、債券と外国株式のバランスを整えましょう(バランスについては過去の記事を参照してください:ズボラさん必見!ハンズフリーポートフォリオでらくらく資産運用)。

たしかに、債券についていい噂は現在ないかもしれません。金利は下がり続けており、今後回復する見込みもないことは事実です。しかし債権が、株式と比較した時に低リスクの金融商品であることは今も変わらないこともまた事実です。ぜひポートフォリオが自分の投資スタイルに合ったリスクを取れているのかどうかチェックして、リスクが予想外に大きい場合は債券を組み込んでみてください。

外国株式についても同様です。米国株式市場は最近10年間好調で、2021も非常に好調でした。先ほども言ったように外国株式と米国株式の値動きはある程度連携しています。よりリスクを下げたい場合には外国株式ではなく債券の購入を検討してください。

司会:Amy、今日はありがとうございました。

1月1日と1月8日は、休載させていただきます。今年も1年ありがとうございました。読者の皆様が良い2022年を迎えられますように。

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saibou

*上記のコンテンツの一部はPodcast "Investing Insights"を和訳したものであり、情報提供のみを目的としております。また内容は作成時に入手可能な情報に基づくものあり、読者様の財務状況や投資目的を考慮しておらず、内容が適さない可能性があることにご留意ください。